冷凍保存と冷凍解凍を極めよう!CASE1( 肉 編 )

目次
冷凍するのも料理には大切なこと

最近、情報番組などで『コストコ』や『業務スーパー』の特集をよく目にします。
全国規模でどんどん店舗が増えていますよね。この両店の人気の理由を考えてみると、やはり何と言っても商品の食材の量が多くてコストパフォーマンスが良いところでしょう。
店頭で大容量の商品を目の当たりにすると、まず食べる人数を考えますよね。大家族であったり、お友達と分けない限り食べ切れないかもしれません。
しかし食材というのは、冷凍保存さえすれば今、全部を食べ切らなくても良いのです。
安い物を多めに買って冷凍して、使いたい時にその分を使う。
この「冷凍」も視野に入れて買い物をすると、今後の買い物の回数も減らせて節約にも繋がるのですよね。
料理も時間のある時に多めに作って冷凍しておけば、後日仕事から帰って来てレンチンするだけなので便利です。冷凍を上手く活用するのって大切ですね。
ただし、冷凍は「できる食材」と「できない食材」があり、できる食材でも正しい冷凍と解凍のやり方をしなければ鮮度が落ちてしまうため注意が必要です。
今回はその正しいやり方をご紹介したいと思います。
食材を一つ一つご紹介すると結構な数になってしまうため、ジャンルごとに分けて追ってご紹介していきますね。
今回は「肉」です。
冷凍保存するために必要な物

まず冷凍するにあたって、食材をそのまま冷凍庫に入れるわけにはいきません。
あらかじめ以下の物を揃えておきましょう。
- ラップ
- ジッパー付の冷凍保存用袋またはポリ袋
- キッチンペーパー
- 金属トレー(ステンレス製、アルミ製など)
- 油性マジック、冷凍した物に貼るラベル
肉を冷凍する時のポイント

肉を冷凍するために、まず肉の性質を把握しておく必要があります。
以下のポイントを抑えておきましょう。
- 買ったらいち早く冷凍庫へ
肉は温度変化が苦手です。
鮮度を保たせるために、買ったらなるべく早く新鮮なうちに冷凍してください。使わない分も早めに冷凍してください。
賞味期限が近づいてからの冷凍はできません。 - ドリップ(赤い液体)は拭く
肉を買うとドリップが出ていることがあります。
これは鮮度が落ちるだけではなく、臭みにも繋がりますので早めに拭き取ってから冷凍しましょう。
また、肉の下にある吸収シートも不衛生なので取り除いてから冷凍しましょう。 - 空気に触れさせない
冷凍中、空気が入ると酸化が進んだり雑菌が付いて繁殖する可能性もあります。
冷凍する際には手をきれいに洗い、ラップで包む時は空気が入らないようにしっかり包み、さらに保存袋などに入れてください。 - キッチンペーパーで包む
肉は冷凍していてしばらくすると変色します。
豚肉と鶏肉の変色はあまり気にならないのですが、牛肉は赤から黒く変色するため見た目が悪くなります。キッチンペーパーで包んでからラップに包むと解凍した時も赤く綺麗に戻ります。 - 急速に凍らせる
鮮度を保たせるためには、冷凍庫に入れてから急速に凍らせることが重要です。
買って来たままパックごと冷凍すると凍るのに時間がかかってしまいます。
薄切り肉や挽き肉は厚みを薄くして包み、次回使う分をあらかじめ小分けにして凍らせると短時間で凍るのでおすすめです。
熱伝導の良い金属トレー(アルミやステンレス)の上に乗せて冷凍庫に入れると早く凍ります。
そのため他の食材の上には重ねないようにしたいですが、一度凍れば重ねても大丈夫です。 - 冷凍した日付と種類と何の料理用なのかを記載する
「いつ買って冷凍したのか?」「凍っていて中身が何か分からない。」
このような問題を回避するためにも、日付と種類・料理名をラベルに書いて貼る癖をつけましょう。
そして・・・
肉は「何の肉か」 だけではなく 、「どのように加工されているか」 によって冷凍方法は異なります。
ここからは肉の種類別による冷凍方法をご紹介したいと思います。
いろんな料理に使える!豚肉の薄切りの冷凍方法
(焼肉・生姜焼き・野菜炒めなどに)
- パックから出し、作りたい料理の分量に合わせて小分けにする。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 平らに広げて空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※冷凍期間は1ヵ月まで
変色を防ぐ!牛肉の薄切りの冷凍方法
(焼肉・すき焼きなどに)
- パックから出し、作りたい料理の分量に合わせて小分けにする。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 平らに広げ、キッチンペーパーで包む。
- 空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※冷凍期間は1ヵ月まで
肉の旨みを閉じ込める!
豚肉の厚切り・牛肉の厚切りの冷凍方法
(豚 : とんかつ・ソテーなどに)
(牛 : ステーキ・バーベキューなどに)
- パックから出し、作りたい料理1回分ずつに分ける。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 豚肉はそのまま、牛肉は1枚ずつキッチンペーパーで包む。
- 空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※冷凍期間は1ヵ月まで
ジューシーさを保つ!鶏肉の冷凍方法
(から揚げ・煮物などに)
- パックから出し、作りたい料理1回分ずつに分ける。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 1枚ずつ空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※冷凍期間は1ヵ月まで
お弁当用にもストック!豚のひき肉・鶏のひき肉の冷凍方法
(豚 : 餃子・肉団子などに)
(鶏 : つくねなどに)
- パックから出し、作りたい料理の分量に合わせて小分けにする。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 平らに広げ空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※挽き肉は肉の間に空気が多く酸化しやすいため、冷凍期間は2週間まで
美味しさそのまま!合い挽き肉・牛挽き肉の冷凍方法
(合い挽き : ハンバーグなどに)
(牛 : 煮込みなどに)
- パックから出し、作りたい料理の分量に合わせて小分けにする。
- ドリップがある場合は拭き取る。
- 平らに広げキッチンペーパーで包む。
- 空気を抜くようにラップで包み、保存袋またはポリ袋に入れる。
- 日付と中身の種類・使う料理名を記入する。
- ステンレスなどの金属トレーに乗せて凍らせ、凍ったらはずしても大丈夫。
※挽き肉は肉の間に空気が多く酸化しやすいため、冷凍期間は2週間まで
意外と知らなかった!?
ベーコン・ハム・ソーセージの冷凍方法
(パスタ・サラダ・和え物などに)
※開封していないものはそのまま冷凍できる
- 開封したものは小分けにして空気が入らないようにラップで包む。
- さらにアルミホイルで包む。(肉の間に空気が残るため、アルミホイルを利用して早く凍らせて酸化を防ぎます。)
※冷凍保存期間は1ヵ月まで
※冷凍のまま調理もできる
おすすめの解凍方法・おすすめできない解凍方法

解凍は「戻す」という用語も用いられます。この戻し方にも正しい方法があり、鮮度も味も保てるので料理をするうえで大切です。
『おすすめの解凍方法』
◎[冷蔵庫に移してゆっくり解凍する]
時間はかかりますが、冷凍庫から冷蔵庫へ移動して解凍すれば、温かい(常温の)環境を避けられるため鮮度を保ったまま戻せます。
◎[水に浸けて解凍する]
材料を袋に入れて水に浸ける、または水を流し当てながら解凍すると早く戻せます。
この際には、くれぐれも食材が濡れないように注意してください。
◎[電子レンジの解凍モードで解凍する]
電子レンジにはよくあるモードです。
ただし電子レンジによって解凍する方法が異なる場合がありますので、説明書の指示に従ってください。
『おすすめできない解凍方法』
×[電子レンジの加熱モード]
電子レンジの加熱モードを使った解凍はムラが起きやすいのでおすすめできません。
×[常温での解凍]
放置しすぎると鮮度が落ちやすいです。とくに忘れがちな方にはおすすめできません。
×[解凍して再度冷凍]
肉は一度解凍してからまた冷凍すると、冷凍焼けしやすく鮮度がだいぶ落ちてしまいます。
裏技/肉を切る時に役立つ方法

生の肉を薄切りや千切りにする時、柔らかくて切りにくいことがあります。
また、生の鶏もも肉を切ろうとすると 皮が剥がれそうになってしまいます。
そこで、肉が切りづらい時にはこの裏技を使ってみましょう。
『冷凍しておいた肉を切る場合』
- カチカチに凍っている肉を前記述の方法で解凍する
- 半解凍された時点で切る
- 皿にキッチンペーパーを敷き、肉を広げて乗せラップする
- 冷蔵庫に入れて解凍する
『冷凍していない生の肉を切る場合』
- 肉を広げてラップで包み30分ほど冷凍庫に入れる
- 肉の周りが少し凍ってきたら切る(肉の中心部分は生の状態なので切りながら周りも溶けてきます)
柔らかくて切りづらい肉も、半分凍っていればスパッと切れるということです。
なお、もともと切りやすい肉の場合はこの裏技を使う必要はありません。
冷凍保存と冷凍解凍を極めよう!肉編のまとめ

肉の冷凍・解凍だけでも奥が深いことが分かっていただけましたでしょうか?
冷凍するからには、いかに鮮度を保たせるかが決め手となります。そしてその性質を知り、的確な冷凍と解凍をすることがポイントです。
コストコや業務スーパーだけではなく、ドンキホーテやベルクなどでも「メガ◯◯肉」という大容量の商品が増えています。
食材も価格高騰で頭を抱える毎日が続きますが、「安い時に多めに買ってキープしておく」というのも、これからの時代には必須なのかもしれませんね。